大日精化工業 様
※本記事は、「i Magazine 2013年5月号」に掲載されたものを、一部編集して掲載しています
富士通製オフコンから IBM i へ移行中
大日精化工業は従来、富士通製のメインフレームやオフコンを軸に企業システムを運営してきた。
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「自社開発・自社運用が基本」(経営管理室の高橋睦人課長)で、これまでに蓄積してきたプログラムは「数万本」に上る。自社開発・自社運用は今後も継続させる方針だが、基幹プラットフォームについては「将来性を評価して」、2002年にIBM i を導入した。現在、富士通製オフコン(PRIMERGY)とIBM i を併行して稼働させながら、PRIMERGYからIBM i へのプログラム移行を推進中である。
同社のプログラムは、これまでCOBOLで開発されてきた。現在はその個々のソースを逐一読み、内容と構造を理解したうえで、ランサ・ジャパンの開発ツール「LANSA」で再構築する作業を進めている。
「先輩たちが作ってきたプログラムには、メーカーとしての当社の独自ノウハウがいろいろと詰まっています。しかし、屋上屋を架すような改修を繰り返してきたため非常に複雑で、それをひも解いて残すべき機能を選別し、さらに現在の業務ニーズに応える機能を追加したうえで、LANSAで開発を行っています。まだ道半ばですが、当社の次世代につながる企業インフラの再構築なので注意深く作業を進めています」と高橋氏は語る。2005年にはIBM i とLANSA技術者を中心に一挙に10名を採用し移行体制を強化した(システム部員は現在17名)。
富士通環境と同様のFAXシステムを構築
この移行作業の中で、新たな対応を迫られたのがFAX送信であった。従来は、帳票画面上の「FAX番号欄」に入力しボタンを押せば、PRIMERGYの機能を使って送信できていた。それが、IBM i への切り替えでは別途用意する必要が出てきたのだ。
同社が日々送信するFAXの数は、1日約1000件。ユーザーは本社・支社・支店からネットワーク経由で基幹サーバーへアクセスし基幹サーバーからFAX送信する仕組みを利用していた。FAXで送られる帳票は、取引先への材料発注書や顧客への納品伝票が中心であるため、「絶対にトラブルが許されない」(経営管理室の中島博之氏)という条件がある。しかも「ユーザーが使い慣れているシステムなので、IBM i への移行後も、操作感やレスポンスで違和感が生じない仕組みを検討しました」と中島氏は説明する。
その結果、採用したのがNTTデータビジネスブレインズの「Pandora-AX」であった。同製品は「電子帳票システム」として知られているが、オプションで自動FAX送信の機能もそろえている。高橋氏は「今後、電子帳票機能も利用し、将来的にはペーパーレスも視野に入れてPandora-AXを選択しました」と採用の理由を語る。2011年5月に製品の検討を開始し、同9月に導入を決め、2012年1月からユーザーの利用が始まった。
Pandora-AXとまいと~くFAXを組み合わせる
構築したシステムは、帳票ごとに、IBM i のスプールデータをフォームオーバーレイ(PrintGen for iSeries)で加工した後に、5250端末エミュレータ「Reflection for IBM」とPandora-AX Writerドライバを経由するパターンと、IBM i の帳票出力用ファイルをCSV変換してPrintProで帳票作成し、Pandora-AX Writerドライバを経由するパターンのどちらかでPandora-AXサーバーへ送り、さらにFAX送信ソフト「まいと~くFAX」搭載のサーバーから送信される仕組みである。Reflection for IBMは、富士通製環境で使用してきたプリンタや複合機へIBM i からダイレクトに出力するために導入済みであったものを利用したものだ(Pandora-AXではIBM i 連携にe-SYOHSIを適用することが多かったが、2012年5月にReflection for IBMにも対応した)。
また、送信エラーなどのトラブルに対しては、まいと~くFAXからPandora-AX経由で送信ログを取得し、5分おきにIBM i へ転送して状況確認を行えるようにしている。送信エラーの際には、手動による再送信を行う。 FAX送信システムをIBM i へ移行しPandora-AXベースで行っていることについて「ユーザーはまったく気づいていないのではないか」と中島氏は言う。「それくらい違和感のない、スムーズな運用が行えています」 Pandora-AXについては今後、電子帳票とプリント出力への適用がテーマである。その手始めとして、国税関係書類の電子保存をPandora-AXで進める予定だ。
「帳票の出力は、ストックフォームからカット紙への移行を進め、現在90%ほどオープン系プリンタで出力しています。
今後Pandora-AXの利用で、帳票の仕分けや保管でさらに業務の効率化が図れると期待しています」と高橋氏。富士通機からIBM i への移行という大プロジェクトの中で、帳票関連システムの整備が着実に進んでいる。
< COMPANY PROFILE > |
大日精化工業 Pandora-AX事例(i Magazine 2013年5月号掲載記事)(PDF 789KB/2ページ)
※ i Magazine 2013年5月号(同月発行) アイマガジン株式会社 サイトへ