部門ごとに採算管理を行えば、売上高と利益率、業務達成率を数値で表すことができます。そのため、前年度目標との差異を明確に算出することができ、その結果をもとに次年度の目標を定量的に設定することが可能になります。また、目標が明確であれば、社員は何をすべきかが明確になり、モチベーションの維持にもつながるので企業として取り組むべき管理手法です。これらはクラウドERPなどのシステムを活用して行うこともかのうです。
採算管理とは
採算管理には部門別とプロジェクト別があります
部門別では売上高や目標達成率など、部門ごとの業績を管理することです。どの部門を伸ばすべきかを把握し、経営資源を適切に配分するためには、部門ごとに分類して管理することが必要です。
一方、プロジェクトにおける採算管理では、現状を把握するために、プロジェクトの成果を期間別に管理する。プロジェクトが赤字になるような事態を避けるため、採算管理は慎重に行わなければなりません。
部門ごとに行うメリット
会社全体の収益性を分析し、成功の再現と失敗の再発防止を確実に行うことは困難です。しかし、部門単位で収益性を管理していれば、部門を比較検討し、自社の強み・弱みを把握することが容易になります。その結果、部門によっては予算超過を把握することができ、経営資源を適切に配分することが可能になり、各部門の業績を共有しやすいため、従業員のモチベーションアップも期待できます。
プロジェクトごとに行うメリット
プロジェクトの進行中に採算管理を行えば、現状把握に加え、将来的に期待できる収益率を算出することができます。これにより、予算をどれだけ増やしても利益が出ることが予測できるため、経営資源の適切な配分が可能なります。
また、プロジェクトの途中で、採算管理を適切に行えば、どうしても利益が出ないものがにわかるかもしれません。赤字をこれ以上膨らませないためには、プロジェクトが終了する瞬間を把握することが非常に重要です。
採算管理の大切さ
赤字になったプロジェクト、最も問題なのは、プロジェクトが最後に着地するまで赤字がわからなかったことです。途中で赤字になることがわかったら、最終手段はプロジェクトからの撤退する判断をしないといけません。
しかし、多くの場合プロジェクトの途中はブラックボックスであり、最後はびっくり箱を開けることになります。この問題は、プロジェクトの採算管理が全くできていないことに帰結します。プロジェクトマネージャーは、スコープ、リソース、リスク、機会費用について管理しておかないと、意思決定することができくなりプロジェクトを失敗する可能性が高くなります。
現場では採算の判断できない
収益性を高めるためには、現場でプロジェクトを管理すればよいと言いたいところですが、現場担当者は他の業務に忙殺され、採算を重視することができないことが多いので管理が難しいです。従って、プロジェクトの採算性を確保するのは、社長や経営陣の責任となります。また、受注したプロジェクトで赤字を繰り返し、泥沼化しているSI企業(業界)の場合、採算管理に特化した「プロジェクトマネージャー」というポジションも存在します。SI企業や上場企業のように採算管理の専門家を用意することは無理でも、上の立場の人間が採算管理を意識することで、プロジェクトの大箱化を防ぐことが出来ます。
採算管理をうまくやる方法
高価なプロジェクト予算管理ソフトが必要というイメージがありますが、実際には簡単なExcelの表計算ソフトでも予算管理は可能です。
エクセルで管理する方法
業種や案件の種類によって多少の調整は必要ですが、2級で簿記を経験された方であれば、工業簿記で学んだことがあるはずです。この知識は製造業だけでなく、他の分野でも役に立ちます。
例えば、プロジェクトが人手を中心としたものであれば、変動費は人件費×日数で計算されます。しかし、プロジェクトが外注作業中心であれば、変動費は外注費×工数で計算することになります。変動費の計算式を決める際には、プロジェクトの性質をよく考えておくことが大切です。
変動費の部分は、厳密に細かくしない限り、数値化することは難しくありません。従業員の人件費は大まかな見積もりができますし、外注する場合はその費用も明確に把握できます(ただし、外注した場合に追加料金が発生する可能性も考慮しておく必要があります)。第一の目的はプロジェクトの状況を把握することなので、あまり細かいことにとらわれないように注意しましょう。
システムで管理する方法
もっと本格的にする場合は会計ソフトやクラウドERPなどが必要になります。戦略的、経営的、業務的な意思決定を行うためには、財務諸表を活用する必要があるからです。さらに、分散コスト・収益分析を行うためには、部門別や製品別のデータなど、管理会計で作成されたデータが必要になります。管理会計がなければ、意思決定は定性的な情報に左右され、明確な根拠がないまま判断される可能性が高くなります。明確な根拠がないまま行われた活動は、その結果を分析することが困難となる。企業活動においては、事象をできるだけ数値化し、その数値を日次で分解していくことが必要です。